春・夏・秋・冬 |
分断後初めて実現した南北国防相会談。北側団長の金鎰喆人民武力部長のソフトイメージが好感を持って迎えられている。会談場所となった済州道内を観光する際には、軍服から薄いグレーの普段着に着替えた。南の記者団によると、白い中折れ帽をかぶった姿は素朴な農民のようだったという
▼朝鮮を訪問し軍人にも何度も会ったが、彼らを怖いと思ったことは1度もない。10年も前になるが、初秋の白頭山登山で凍った道を降りる羽目になったことがある。何度もすべっては転ぶ姿を見かねて、両腕を支えて一緒に降りてくれたのは、まだあどけない顔をした初年兵たちだった。板門店では「記者さんの顔を雑誌で見ましたよ」と気軽に声をかけてくる兵士がいた ▼朝鮮では金正日国防委員長を頂点とする先軍政治が実施されている。文字どおり軍隊を柱として社会主義建設を進める政治方式だが、軍事独裁とはまったく異なる。なぜなら、朝鮮の軍人たちは人々の中に自然に溶け込んでいるからだ ▼軍隊の任務はもちろん防衛。だが、食料工場や養魚場、牧場、発電所建設、土地整理事業など人民生活にかかわる部分も軍が担当する。だからこそ、軍人は人民から尊敬され親しまれる。「軍民一致」の伝統的気風はここから生まれる ▼国防相会談では、南北を結ぶ鉄道と道路の工事に着手するため、非武装地帯内に人員と車両、機材の持ち込みを許可し安全を保障することで合意した。平和と和解の象徴、京義線建設に南北の軍部がこぞって協力する。何とも喜ばしいではないか。(聖) |